深夜特急は腰が痛む。

卒業までに30か国いっちゃうぞ!(いま17)

黒モン族のおうちに弾丸ホームステイ。

2015年8月。大学二年の夏に、僕は3週間かけて東南アジアのベトナムカンボジアタイ、でバックパック担ぎ歩き回っておりました。
 
彼らはバックパッカー御用達の国々ですね。同じルートを辿ったことのある方々もきっと多いことでしょう。定番といえど、誰が何度言っても飽きることのない魅力をみせてくれるのがたまりません。東南アジア、最高ですよね。
 
行った先行った先でエピソードがあるのですが、今回は旅の出発点ベトナムより、北部の町サパ少数民族黒モン族のおうちに弾丸ステイしたエピソードを綴ろうと思います。

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ベトナム北部の町"サパ"とは?

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ベトナムの首都ハノイから北へ250kmのところに位置する町、サパベトナムに50以上いるとされる少数民族の中の、特に黒モン族や花モン族が生活を営んでおり、彼らが毎週日曜日に開催するマーケットや、山岳地帯へのトレッキングなどで知られています。

 

行き方として、まずハノイから列車で8時間かけてラオカイ(中国と国境を接する北部の町)まで行き、その後乗合バンでに2時間かけて向かうのが最もポピュラーです。

 
町は小一時間あればまわれてしまうほど小さく、広場とその傍に立つ教会を中心に、何十もの細い道が延びています。山合いなので階段、坂道がとても多い場所です。(若いうちに行かないと。)

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到着、そして遭遇。

ハノイから夜行列車に乗り、サパに到着したのは翌日午前6時頃。乗り合いバンは広場を少し通り過ぎたあたりで止まり、ぶっきらぼうな合図とともにバンを降ろされます。 
 
あたりは薄く霧がかっていて、広場に人影はなし。ほかの乗客はすでにホテルをとっていたようで、足早にその場を後にしていきます。ぽつんと取り残された僕はいつもどうり、ここから今晩の宿を探します。安くてwifiがあってトイレが奇麗なところないかな。
 
20分ほど広場の前でうろうろしていると、黒い民族衣装を身に纏った人たちが視界に入ってきました。”少数民族”なんて言葉を聞くとなんか特別な感じがしていましたが、そんな僕の気持ちをよそに、彼らはいたって普通に普通です。
 
そんな中、僕を見つけた女の子2人組がこっちに歩いてきて言います。
「ハロー!今日の予定は?ホテルは予約した?」
 
.....いきなりそっちのお誘いかと思い、少数民族となんてコアだなあ。と心の中で呟きながら拙い英語でNo thank you.とその場を後にします。(今思えばとんでもない勘違い野郎ですが。)
 
しかしまたすぐに、今度は黒い民族衣装を来たおばさまに声をかけられます。
「ハロー!今日の予定は?」 
 
な...何なんだろうこれは...。とまたその場を立ち去ろうとした瞬間、なにか違和感が。ふと広場を見回すと、同じように観光客に声をかけている少数民族の姿が見えます。これはもしや、と思いおばさまに質問します。
「もしかして、サパを案内してくれるの?トレッキングとか?」
 
すると、おばさまはにこやかに、
「私の村まで一緒にトレッキングして、家に泊めさせてあげるよ。」 
 
一瞬で合点がいきました。彼らは観光客を案内し家に泊めて、その見返りとしてお金をもらっているのです。噂には聞いていたけど、こうやって声かけてるんだ。なんて大胆な。
 
素晴らしいオファーを前に高揚感がとまりません。少数民族の家にホームステイだって...!写真撮ってインスタに載っけたい.....!!
 
しかし気になるのはお値段。
は、ハウマッチ?と聞くと、50米ドルという答えが。
 
むむ、さすが東南アジアです。皆さんもご存じでしょうが。ここは交渉が命の国です。
10分ほど粘り、22米ドルで決着がつきました。(半分以下
 
さて、すっきりお金の話が終わった後は、遂におばさまの村に向かいます。
 
 

40kgのバックパック+急こう配 ☞しかしその先には。

観光客や少数民族で賑わっている広場から10分もしないうちに建物が見えなくなり始めます。やっぱり小さい町なんだな~。とか考えていると、口を縛られた犬たちがあたりに出現。え、狂犬すか...?....この先が急に不安になりだしました僕です。
 
しかしそうこうしている間にも山道が見えてきました。こりゃ、行くしかないな。

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それからは、道なき道をひたすら歩きます。急こう配が厳しい。
 
 
途中でおばさまも道に迷い、不安に駆られるもどうにか歩を進めていきます。きつい..。
 
 
最初はワクワク気分でなんとか乗り切っていきましたが、1時間弱が経つと身も心も現実世界に帰ってきて、足と精神の限界が来ます。バックパックと前掛けリュックを身に付けての山道は想像以上に過酷なもんです。
 
 
このおばさんにノコノコついてきたことを後悔し始めたころ、やっと山道を抜け、高台にでました。すると、
 
 
 

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絶景。でした。

眼下には果てしない棚田が広がり、思わずオオ...。と喉が鳴ります。

いままでのつらい道のりにすべて納得がいく美しさでした。大興奮の僕におばさまは笑っていましたが。

 

 

そこからの1時間はまるで別人のように、右手にカメラを携え軽快なステップで両足を前に繰り出していきます。

 

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美しい棚田を見上げる光景や、

 

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作物の収穫に向かう黒モン族に遭遇したり、

 

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コーンの上でコーンをむさぼる少年を見かけたり。

 

すべてが絵になる光景でした。

 

 

しかし、街から出て2時間経過した頃。

必死で歩いてよかった..。と感動していた僕におばさまからの衝撃的な一言。

「いま半分くらいかな〜。」 

 
は?今なんて?
と顔中の汗を飛ばして聞き返します。
 
「私の村はサパから一番遠いんだ。」 
 
 
それを先に言ってくれ....と叫びたいところでしたが、時すでに遅し。全て受け入れてついて行くしかありません。
 
その後は、歩いて、

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歩いて、

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また歩いて、

 

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計4時間。

村に着いた時には完全にくたばっておりました。

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村の子供たち。いや、黒の衣装着てないんかい。

 

蚊帳の下で寝た晩、そしてかえりみち。

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家は木造の一軒家。床はコンクリートでならしただけの簡素な造り。一番大きい部屋の中心に囲炉裏のようなものがあり、石を切ってつくられた長椅子がそれを取り囲む形に配置されていました。殺風景と言ってしまえば聞こえは悪いですが、シンプルで整頓されており、非常に清潔感がありました。

外には牛が1頭と鶏が5,6羽いました。食べるにしては数が少ないような。

 

家に着いたのも束の間、どうやらおばさまの娘さんたちが村を案内してくれるらしい。もはや寝たいのですが、これも経験。重い腰をあげ、彼女たちと共に川へ。(実は彼女たちは僕を案内してお小遣いがほしいだけだったと後に知る。)

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川で夕方まで遊んだあとは、お家へ。すでに晩飯が出来ていました。
 
どうやら村にも小さな市場があるらしく、割と必要な材料は揃うらしい。細かいものはサパまで行かないといけないけれど。
 
米や野菜類は完全に自給自足しているようで、他の村人同士で助け合って暮らしているようでした。僕が滞在している間にも、何人かご近所さんが訪ねてきていたし。きっとこの共同体一つで家族のようなものなんだろうな。
 
 
ご飯の後は就寝タイム。この村の夜は午後7時に終わる。
もっともっと話をしたかったけれど、あっという間に家の電気が消え、気に囲まれて、さらに街灯のない村は真っ暗。生まれて初めて蚊帳の中で寝ました。
 
次の日は早朝から道を引き返しサパへ。
道中、僕がいろいろ質問するとおばさまはなんでも答えてくれた。
信仰、結婚の話や、子供の話。これからの話など、目を輝かせて聞く僕に、丁寧に答えてくれるおばちゃん。
 
旦那さんとは教会で出会い、大恋愛をして結婚したそうで、式は挙げなかったけど村が小さいからみんな祝ってくれたそう。子供は隣村にある学校に通っていて(おばちゃんの村には学校がないらしい。)、ベトナム語や計算などを習うらしい。
 
ハノイとか大都市に行くことは考えたこともないらしく、小さいけど村全体が家族みたいな場所を離れることはできないらしい。完璧な暮らしとは言えないけど、サパまで毎日歩いてお金を稼いで、子供が学校に行けて、友達と話してるのが楽しいんだそう。
 
 
 
自分が”少数民族”という言葉にとらわれすぎていたのか、実際に会った彼らは全くフツーに普通だった。自分が勝手に”特別”っていうレッテルを貼ってただけなんだな、と実感しました。

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なんか、近所の友達の家に泊まった感じのする一泊二日旅でした。