「日本人はSorry言いすぎ。」と言われて
シドニーの語学学校に来て2ヶ月経った頃、
友達のスイス人に言われた言葉に考えさせられることがあった。
『日本人ってなんでそんなにI'm sorryって言うの?』
『日本人て何にでもI'm sorryって返すよね。』
「そんなことないっしょー。」って言いながら、(たしかに..。)
と、なんとなく納得した僕は、その日1日の「I'm sorry」を数えるようにした。
教室で友達にペンを借りたとき。
通りで道を譲ってもらったとき。
空いたお皿をウェイターが下げてくれたとき。
店員さんにもうワンサイズ大きな服を持ってきてもらったとき。
意識してみたら自分の口から数えきれない量のI'm sorryが流れ出ていることに気が付いた。
たしかに、「日本人はすぐ謝る。」と外からの目にはうつるかもしれない。
日本は相手に謙遜する文化だから、日常的に「すみません。」を使う。
しかも『謝る』というよりは感謝を込めて使っている「どうもすみません。」だってある。
ご近所さんからおみやげをいただいた時に、おばーちゃんが満面の笑みで「いやいや、どうもすみませんねえ。」と言っている場面を見たことがある人は結構多いだろう。
これが味噌なんだよなあ。
その日本文化の中で進化?した「すみません。」の概念が、それを英語で使うときに、その場所では伝わらないから、こういう事態になってしまっているのだ。
日本の「すみません。」って便利だよなあ。って感心しながら、しかし僕がいるのはオーストラリア。ここの文化で過ごしてみよう。
ものは試し。この2週間意識してI'm sorryのかわりに「Thank you!」を使ってみた。
すると、面白いことがおこった。
「Thank you」と言ったあと、そのまま会話が進行することがよくあったのだ。
いままで、I'm sorry. ーNo worries.で終わっていた関係が、
相手の目を見てThanks youと言いだした途端、それがきっかけで相手がほほえみ、いつも来てるよね、ここ。今日はどこ行くの?今日暑いよね。美味しかったよ。などの言葉が自然に続くようになった。
たった少しの変化で、なかなか人生も楽しくなるもんだなあ。
なんだか映画ABOUT TIMEを観た直後のような気持ちになった。(わかる人にはわかる。)
やはり、こっちの文化では素直に「Thank you」と伝えたほうがいいらしい。
『Thank you』の魔力に酔いしれよう。